人間の手は、道具を器用に扱うために複雑かつ繊細な構造をしています。片手だけで合計27個の骨格(手根骨8個、中手骨5個、指骨14個)と、それらを繋ぐ無数の腱や靭帯で構成されており、本来は強い衝撃を真正面から受け止めるようには設計されていません。
初心者が物を殴った際に手首や指を痛めてしまう最大の理由は、衝撃が一本の軸として腕に逃げていない点にあります。握りが甘い状態でインパクトを迎えると、中手骨が過度に圧迫され、いわゆる「ボクサー骨折」と呼ばれる骨折や靭帯の損傷を引き起こします。
安全に力を伝えるためには、握り込んだ指の隙間を完全に埋め、手首関節の角度を一直線に固定して「ひとつの強固な塊」を作り出す生体力学的なアプローチが欠かせません。