本作の誕生には、音楽史に残るドラマチックな紆余曲折が存在します。1979年7月、欧陽菲菲のシングル『うわさのディスコ・クイーン』のB面曲として世に出たのが最初のリリースでした。当時の欧陽菲菲といえば、『雨の御堂筋』などに代表されるエネルギッシュでダンサブルなイメージが定着しており、哀愁漂うバラードである本曲は当初、レコード会社側からメイン扱いされていませんでした。
潮目が変わったのは、当時のナイトクラブやスナックを中心とした有線放送へのリクエスト殺到です。伊藤薫氏の情感豊かなメロディと、欧陽菲菲のハスキーかつ圧倒的な声量による歌唱が夜の街で働く人や大人たちの心をとらえ、じわじわと口コミで浸透していきました。
その熱狂に応える形で、1980年7月にA面・B面を入れ替えたシングルとして再発売。さらに1982年から1983年にかけて爆発的なロングセラーを記録し、1983年のオリコン年間チャート上位にランクインする快挙を達成しました。欧陽菲菲は同年の『NHK紅白歌合戦』に11年ぶりの出場を果たし、日本中のお茶の間にその存在感を刻み込みました。