彼の人生を狂わせたのは、双子の弟である継国縁壱(つぎくによりいち)の存在に他ならない。生まれながらにして「痣」を持ち、呼吸の極意を体得していた縁壱は、厳勝にとって憧れであり、同時に最大の呪いとなった。神に愛されたとしか思えない弟の才能を前にした時、厳勝の心に芽生えたのは、深い嫉妬と絶望だった。
「私はお前になりたかったのだ」という彼の魂の叫びは、多くの視聴者の胸を締め付ける。どれほど努力しても届かない才能の壁。それは、競争社会を生きる私たちにとっても決して他人事ではない。黒死牟というキャラクターがこれほどまでに支持されるのは、彼が抱く「持たざる者の嫉妬」が、あまりにもリアルで、痛々しいほどに人間的だからだろう。