この楽曲を語る上で欠かせないのが、作曲家・吉田正の存在だ。彼は日本の都会的ポップス「ムード歌謡」の先駆者でありながら、常に新しい洋楽のビートを貪欲に取り入れ続けた。その実験精神が極限まで発揮されたのが、一連の「リズム歌謡」シリーズである。
単にアメリカの真似事をするのではない。日本の情緒や日本語の響きが最も美しく、かつダイナミックに響くテンポ感を追求した。その結果生まれたのが、洋楽のグルーヴを持ちながらも、日本人のDNAに直接訴えかける独自のポップスだった。この絶妙なバランス感覚こそが、今聴いても全く古びない最大の秘密だろう。