ミュージカルや映画で観客の心を掴んで離さないのが、パリの路上をたくましく生きる少年ガヴローシュです。機転が利き、大人顔負けの度胸でバリケードの仲間を鼓舞する彼ですが、実はテナルディエ夫妻の実の息子であり、エポニーヌの弟であるという設定は、舞台版ではさらりと流されがちな重要ポイントです。
原作小説において、テナルディエ夫妻は長女エポニーヌ、次女アゼルマを溺愛する一方で、息子のガヴローシュには一切の愛情を注がず、幼くして路上へ追い出しました。親から捨てられたガヴローシュはパリの街頭を我が家とし、浮浪児たちのリーダーとして育ちます。
エポニーヌとガヴローシュは、互いに実の姉弟であることを明確に認識しないまま、奇しくも同じ革命のバリケードで散っていくことになります。銃弾が飛び交う中、倒れた兵士たちから火薬を回収しようと歌いながら駆け回り、凶弾に倒れるガヴローシュの最期は、フランス社会の底辺で踏みにじられた子どもたちの象徴として胸に迫ります。