ここ数年、メンズのヘアスタイルにおける価値観は劇的な変化を遂げた。一昔前のように「短髪=清潔感」というステレオタイプな固定観念は崩れ去り、自分らしさを象徴する手段としてロングヘアを選ぶ男性が急増している。この潮流を後押ししているのが、グローバルなカルチャーシーンの動向だ。
スクリーンや配信プラットフォームを覗けば、その影響力は一目瞭然である。映画『ジョン・ウィック』でキアヌ・リーブスが体現した無骨でミステリアスな長髪姿は、男らしさの新たな基軸を打ち立てた。さらにNetflixのオリジナル作品群でも、多様なバックボーンを持つ登場人物たちが肩にかかる髪を靡かせ、自由なライフスタイルを表現している。海外に目を向ければ、ハリウッドの新世代アイコンであるティモシー・シャラメのナチュラルなウェーブヘアが世界中の若者を魅了してやまない。
もちろん、日本国内における歴史的な文脈も忘れてはならない。90年代後半に木村拓哉が巻き起こした伝説的なロングヘアブームや、映画やドラマで唯一無二のアンニュイな雰囲気を漂わせるオダギリジョーのスタイルは、今なお日本のカルチャーシーンに深く根付いている。かつてのカリスマたちが示した「個性を重んじる美学」が、現代のストリートやビジネスの現場にまでアップデートされて浸透しているのだ。