火のないところに煙は立たないと言われますが、ネット社会においては「小さな火種が別の燃料と結びついて巨大な誤報へと膨張する」現象が日常茶飯事です。レッド吉田の「病気休養説」も、まさにそうした現代特有の情報流通構造が引き起こした典型例でした。
発端の一つは、相方であるゴルゴ松本とのソロ活動比率の変化です。2010年代以降、ゴルゴ松本が全国の少年院や学校を巡る「命の授業」で大きな社会現象を巻き起こし、教育・文化人枠での露出を急増させました。一方でレッド吉田は、ひな壇番組の激減とともに専門性の高い野球・競馬コンテンツや地方レギュラー番組、子育て関連イベントへと軸足を移していきました。
この結果、「キー局のゴールデン番組でコンビ揃って見る機会が減った」=「レッド吉田の体調が悪くて休んでいるのではないか」という短絡的な憶測が視聴者の間で発生しました。地上波全国ネットへの出演頻度だけをタレントの活動指標とみなす層によって、「消えた」「病気説」がまことしやかに語られたのです。
さらに、SEOを目的としたまとめサイトが「レッド吉田」「病気」「入院」といったキーワードを意図的につなぎ合わせ、長男のネフローゼ症候群の記事を本人と誤認させるような見出しで量産したことも、噂を固定化させる大きな要因となりました。情報の一次ソースを確認しないままタイトルだけを斜め読みした読者が、誤った印象をインプットされてしまったのです。