2026年(令和2年)12月3日、講談界に激震が走りました。六代目一龍斎貞水が都内の病院で息を引き取ったのです。公式発表による直接の死因は肺炎、享年81歳でした。新型コロナウイルスの世界的流行が社会を覆い、多くの演芸場が休業や入場制限を強いられていた激動の最中での訃報でした。
貞水は2006年から長年講談協会の会長を務め、分裂や後継者不足に悩む協会の屋台骨を支え続けました。晩年は体調を崩しがちで、入退院を繰り返す満身創痍の身体でありながら、高座への情熱が衰えることはありませんでした。病床にあっても「次の高座では何を読もうか」「客席にどう驚きを届けるか」と語り続け、弟子の育成と講談の未来に心を砕いていたといいます。
関係者の証言によると、晩年の貞水は自身の老いや病を決して客席に見せようとしませんでした。釈台の前に座った瞬間に背筋がピンと伸び、鋭い眼光を取り戻すその姿は、まさに生涯を語り芸に捧げた求道者そのものでした。惜しまれつつこの世を去った名人の旅立ちは、昭和の寄席演芸の黄金期を支えた巨星の喪失として、各メディアで大々的に報じられました。