大衆文化における職場の描かれ方も、ここ数年で地殻変動を起こしている。
かつて社会現象を巻き起こしたビジネスドラマ『半沢直樹』では、机を叩き、顔を極限まで近づけて部下を怒鳴りつける上司の姿が一種の様式美として消費されていた。理不尽な圧力に対して倍返しで立ち向かうカタルシスは、強烈な縦社会のプレッシャーが日常に存在することを前提に成り立っていた。
対照的に、TBS系ドラマ『不適切にもほどがある!』やNetflixで配信される国内外の職場群像劇が提示するのは、過剰な叱責や精神論に対する強烈な違和感と冷ややかな視線だ。「昔はこうだった」「鍛えるために厳しく言っている」という弁明は、もはや共感を得るどころか、時代錯誤なリスク行為として描かれる。エンターテインメント作品が映し出す価値観の変遷は、視聴者であるビジネスパーソンの意識を不可逆なまでに塗り替えている。