日本画の虎はなぜ猫似?若冲・応挙ら巨匠が描いた幻獣の謎と真実

日本画の虎はなぜ猫似?若冲・応挙ら巨匠が描いた幻獣の謎と真実

日本画の虎はなぜ猫似?若冲・応挙ら巨匠が描いた幻獣の謎と真実についての真相をお届けします。

実物を見られない制約のなかで、江戸から近代にかけての有名絵師たちは独自の探求眼で虎の表現を極限まで磨き上げました。

伊藤若冲(いとうじゃくちゅう)の描いた『虎図』は、中国の画家・毛益(もうえき)の作品に倣ったと記されつつも、若冲ならではの超絶技巧が爆発しています。毛筋の1本1本を極細の筆で描き分ける「毛描き」の密度は凄まじく、獰猛さの中に独特のユーモアと幻想的な気迫が漂う唯一無二の仕上がりです。

徹底した写生主義を掲げた円山応挙(まるやまおうきょ)の『猛虎図』は、虎の毛皮を入手して丹念に観察し、その立体感を猫の骨格と融合させてリアルな量感を創出しました。応挙の描く虎は、毛並みの柔らかさと猛獣としての重厚な存在感を完璧に両立させ、円山派の代名詞として後世に絶大な影響を与えています。

虎の絵で一世を風靡した岸駒(がんく)は、さらなるリアリティを追求して「虎の頭骨や脚の実物」を取り寄せました。骨の構造を徹底的に研究して描かれた岸駒の虎は、浮き出た血管や鋭利な牙、力強い眼光が際立ち、「まるで屏風から抜け出して人を食いそうだ」と当時の人々を震え上がらせました。

そして近代に入り、ついに生きている本物の虎と対峙したのが近代日本画の巨匠・竹内栖鳳(たけうちせいほう)です。1900年のパリ万国博覧会視察の折、ベルギーのアントワープ動物園で生きた虎を目の当たりにした栖鳳は、その獰猛な息遣いと野生の躍動感をスケッチし、西洋の写実と東洋の筆墨を融合させた革新的な名作を生み出しました。

伊藤 翔太
著者

伊藤 翔太

マネー知識やキャリア形成に役立つノウハウを、初心者にも分かりやすく解説するのが得意です。