讃岐と稲庭に続く「3番目のうどん」として、観光ガイドブックやメディアで最も頻繁に名前が挙がるのが、群馬県の水沢うどんと長崎県の五島うどんです。さらに地域や文脈によっては、富山県の氷見うどんや愛知県の名古屋きしめんが名乗りを上げるケースも見られます。
なぜここまで諸説が分かれるのか。その根本的な真相は、「日本三大〇〇」を公式に認定・統括する公的機関が存在しないためです。各地域が誇る歴史的価値や品質の高さをもとに、観光誘致や地域振興の一環として「三大」をアピールしてきた経緯があります。
関東圏を中心に最も定着しているのが、群馬県渋川市伊香保町の水沢うどんです。およそ400年前、水沢寺(水沢観音)の参拝客向けに手打ちうどんが振る舞われたのが起源とされ、透き通るような白さと強い弾力、冷たいざるうどんをごまダレやつゆで味わうスタイルが確立されています。
対して西日本や麺マニアの間で圧倒的支持を集めるのが、長崎県五島列島の五島うどんです。遣唐使の寄港地であった五島に伝来した手延べ麺がルーツとされ、特産の椿油を麺生地に塗りながら極細に引き伸ばす独自の製法を守り続けています。熱湯の中で茹でながらあご(トビウオ)出汁につけて食べる「地獄炊き」は、五島ならではの食文化です。
また、農林水産省の「郷土料理百選」や麺類の歴史分類において、愛知県の名古屋きしめん(平打ちのうどん)や、稲庭と同じ手延べルーツを持つ富山県の氷見うどんを三大に数える文献も散見され、地域や選者の視点によって順位付けが変動する要因となっています。