深夜の都内編集室。モニターの微光に照らされた森本は、疲労の色を一切見せず、静かに言葉を紡ぎ出した。「誰も観たことがないものを作りたい、などと軽々しくは言えません。でも、観客が劇場を出た後に街の風景が違って見えるような、そんな記憶の改変を起こしたいんです」。その眼差しは、どこまでも澄み切っている。
「安易な共感を誘うストーリーテリングにはもう飽き飽きしているはずです。理不尽な現実、割り切れない人間の矛盾。それらを糊塗せずに提示することこそが、現代の映画に課せられた誠実さではないでしょうか」。妥協なき言葉の端々から、映画というメディアに対する絶対的な信仰と、現状への激しい憤りが透けて見えた。