日本国内において水メジャーの存在感が急速に高まった契機は、2018年に可決された水道法改正(2019年施行)にあります。改正の背景にあったのは、日本の水道事業が直面する「三重苦」でした。
第一に、高度経済成長期に敷設された水道管の法定耐用年数(40年)超えです。全国で更新が必要な管路が膨大にあるにもかかわらず、年間更新率は1%未満に低迷しています。第二に、地方の過疎化と人口減少に伴う水道料金収入の大幅な減少。そして第三に、自治体の水道部局における専門技術者の退職と人手不足です。
この危機的状況を打開するため、政府が推進した制度が「コンセッション方式(公共施設等運営権方式)」でした。
コンセッション方式とは、水道施設の所有権は自治体が保有したまま、運営権や利用料金の徴収権を長期間(15〜20年間など)にわたって民間企業に設定する仕組みです。自治体側はインフラ資産を手放さずに済み、民間企業は独自の経営効率化やIT技術を導入してコスト削減を図ることができます。この制度的インフラが整ったことで、海外市場で豊富な実績を持つ水メジャーの日本参入に事実上の道が開かれました。