音楽アワードにあまり詳しくない視聴者から頻繁に寄せられるのが、「優秀作品賞とレコード大賞は何が違うのか?」という疑問です。結論から言えば、優秀作品賞は『大賞の最終ノミネート作』であり、日本レコード大賞はその中の『頂点(グランプリ)』という関係性にあります。
選考の流れは極めて明快です。例年11月中旬に「日本レコード大賞 優秀作品賞」として10作品が選出・発表されます。この10作品に選ばれた時点で、アーティストとその制作チームには優秀作品賞の盾が授与されます。そして、12月30日のTBS系列による生放送本番にて各アーティストが楽曲を披露し、番組後半で審査委員会による最終投票が行われ、わずか1曲だけが「日本レコード大賞」の栄冠を手にします。
大賞決定のシステムにおいて特筆すべきは、審査委員が生放送中の歌唱・生演奏を直接見て最終判断を下す点です。長年レコ大の舞台を取材してきた音楽ライターは次のように語ります。
「事前のセールスデータや配信再生数で本命視されていたアーティストであっても、当日のステージでの気迫やオーケストラとのアンサンブル、会場を包み込む空気感によって審査員の心が大きく動くケースは珍しくありません。過去の受賞特番のインタビューでも、受賞者が『あの生放送のステージで全てを出し切った瞬間に空気が変わった手応えがあった』と述懐している通り、土壇場の生ライブ力が勝敗を分ける舞台なのです」