村崎太郎の歩みを語る上で欠かせないのが、歴代の「次郎」との絆だ。かつて周防猿まわしの会で途絶えかけていた猿まわしを現代のエンターテインメントへと昇華させた根底には、人間と動物という関係を超えた深い信頼が存在する。
言葉が通じない相棒と心をあわせる稽古は、ときに過酷を極める。しかし、体罰や力による支配ではなく、深い愛情と徹底した対話によって育まれる芸だからこそ、観客の心を揺さぶる笑いと感動が生まれるのだ。
「次郎は芸のパートナーであり、人生の師でもある」。村崎はかつてそう語った。代が変わっても引き継がれる「太郎次郎」の看板。そこには、数百年続く伝統芸能の重みと、命と向き合い続ける覚悟が刻まれている。