『日の名残り』ダーリントン卿の悲劇|ナチス傾倒の真相と実在モデル

『日の名残り』ダーリントン卿の悲劇|ナチス傾倒の真相と実在モデル

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戦争が終わった後、ダーリントン卿を待っていたのは冷酷な社会的抹殺でした。かつて屋敷に集っていた政財界の友人たちは一斉に手のひらを返し、彼を避けるようになります。

ある新聞社から「ナチスの手先」と大々的に報じられた際、名誉を回復すべく挑んだ名誉毀損裁判で完全敗訴。この敗訴によって彼の社会的生命は完全に絶たれました。自らが信じてきた「正義」が、何百万人もの命を奪ったナチスの蛮行に加担していたという残酷な現実に直面し、卿の精神は完全に崩壊します。

晩年はダーリントンホールに閉じこもり、誰とも会わずに衰弱していきました。具体的な死因は病死ですが、その本質は自責の念と絶望による「心痛死(衰弱死)」であったと描写されています。自らの生涯をかけた大義がすべて過ちであったと悟りながら息を引き取った彼の末路は、本作における最も痛烈な悲劇と言えます。

山口 彩花
著者

山口 彩花

グルメと旅を愛するフリーライター。全国各地の隠れた魅力を独自の視点から紹介します。