日テレの箱根駅伝実況が他局のスポーツ中継と一線を画す最大の理由は、圧倒的な情報量に裏打ちされた取材ノートの存在にあります。実況を担当するアナウンサーは、秋の予選会や全日本大学駅伝はもちろん、夏合宿や記録会、各大学の合宿所へ足繁く通い、選手や監督、マネージャーとの信頼関係を築き上げます。
アナウンサーの手元にある通称「タスキチャート」や「選手別資料」には、5000m・10000mの自己ベストや走法の特徴だけでなく、怪我に苦しんだリハビリ期間のエピソード、家族への想い、チームメイトとの絆に至るまでが細かな手書き文字とカラーペンでびっしりと書き込まれています。
「この一瞬の走りの裏に、どれほどの苦難があったのか」を視聴者に届けるため、彼らは出走しない補欠メンバーや主務の歩みまで把握した上で本番のマイクに向かいます。レース展開が膠着した際や、大差がついた単独走の場面でも視聴者を惹きつけ続ける背景には、数カ月間に及ぶ地道な足を使った取材の積み重ねがあります。