アナスタシアを語る上で避けて通れない最大の謎、それが彼女の首元に常に巻かれている白狐の襟巻き「襟ドナ」の正体だ。愛らしい装飾品に見えるこの毛皮、実は自意識を持った「人工精霊エキドナ」である。
かつて世界を震撼させた『強欲の魔女』エキドナによって生み出された存在でありながら、生前の記憶をほぼ失っている襟ドナ。彼女がアナスタシアと共にある目的は、決して無償の友情ではない。知識への渇望と、自らの存在証明。そして何より、アナスタシアという宿主の命を長らえさせるための「共生」だ。
物語の劇的な局面では、アナスタシアの身体の主導権を襟ドナが一時的に肩代わり(憑依)する場面すら描かれる。肉体を貸し与えるリスクを冒してまで結ばれた契約の裏には、互いの生存と目的をかけた、危うくも強固な信頼関係が存在している。