言葉遣いやビジネスエチケットの浸透過程において、マスメディアとデジタルプラットフォームが果たす役割は極めて大きい。NHKの放送用語委員会などが提示する言葉の基準は、長年にわたり日本国内における標準的な表現の目安として機能してきた。正確かつ公平な言葉遣いを徹底する報道姿勢は、視聴者に対して「過不足のない敬語」の手本を示し続けている。
一方で、近年目覚ましい影響力を発揮しているのがYouTubeをはじめとする動画コンテンツだ。若手ビジネスパーソンや就職活動生を中心に、マナー講師や現役の広報担当者が解説する短尺動画を参考に言葉遣いを学ぶ傾向が定着している。「教えてください」の言い換えをテーマにした解説動画は数百万回再生されることも珍しくなく、視覚的・聴覚的に実践的なマナーが急速に拡散・共有される基盤となっている。
ただし、動画メディアの特性上、分かりやすさを優先するあまり、例外的な文脈や厳密な文法定義が省略されるリスクも指摘される。メディアが発信する手軽なノウハウを享受しつつも、それがどのような規範に基づいているのかを自ら確かめる姿勢が、真のコミュニケーション能力を養うことにつながる。