ロエベ製品の真贋鑑定において、最も象徴的かつ重要な観察ポイントとなるのが、4つの「L」を組み合わせた伝統の刻印「アナグラム」です。本物の刻印は、熱プレスによって革の表面へ深く、均一な圧力で均整の取れた線が刻まれています。線の太さが一貫しており、角のR(曲面)が極めてなめらかに処理されているのが特徴です。一方、精巧な偽物であっても、刻印の押しムラや線の先端の鋭利さ、歪みなどが微細に残ります。
縫製技術(ステッチ)とコバ処理(革の切断面の塗料)の精度にも、決定的な差が出ます。本物は職人が均一なテンションで針を通しているため、ステッチの角度が美しく揃い、糸の乱れや飛びは一切ありません。また、コバ塗りは重ね塗りの工程が非常に丁寧で、触れたときに引っかかりがなく滑らかです。偽物はコストカットの影響でコバ塗りが厚すぎて野暮ったくなったり、乾燥による亀裂が早期に発生したりします。
さらに見落とせないのが、革そのものの「質感と香り」です。最高峰のナッパレザーなどを惜しみなく使用するロエベのアイテムは、手に吸い付くようなしなやかさと、上質な天然皮革特有の芳醇な香りを持っています。化学薬品特有の強烈な刺激臭や、表面の人工的なプラスチック感を感じた場合は、どれほど見た目が精巧であっても偽物を疑うべき重要なシグナルです。