山あいの深い霧が晴れると、太陽光パネルと最新鋭の強化ガラス温室が朝日に照らされて浮き上がる。ほんの数年前まで背丈ほどの雑草が生い茂っていた休耕地だった場所だ。今では毎週末、都市部から送られる採れたて有機野菜の定期便を心待ちにするファンや、農業体験を求めて訪れる家族連れで大いに賑わっている。
地方自治体による手厚い資金支援制度や、インパクト投資ファンドの参画が大きな追い風となった。かつて「重労働」「利益が上がりにくい」と敬遠されがちだった一次産業の既存イメージは、最新テクノロジーと現代的なブランディングの手法によって、根底から塗り替えられつつある。