日本国債が最初からシングルA級だったわけではありません。1990年代初頭のバブル崩壊直後まで、日本は3大格付け会社のすべてから最上位の「AAA」を付与されていました。そこから現在の水準に至るまでの軌跡は、日本の失われた30年と財政悪化の歴史そのものです。
過去の主要な格下げ局面と、格付け機関が突きつけた決定的な理由は以下の通りです。
- 1998年〜2002年(AAA喪失からAA圏転落):金融危機とデフレ突入に伴う景気刺激策の連発により、国債発行残高が急増。ムーディーズを皮切りにAAAを剥奪され、財政構造改革の遅れを理由に段階的にAA-まで引き下げられました。
- 2011年1月(S&PがAAからAA-へ格下げ):民主党政権下での社会保障・税一体改革の停滞と、財政健全化に向けた政治的合意形成能力の欠如が指摘され、S&Pは「明確な財政再建戦略を欠いている」として格下げに踏み切りました。
- 2015年9月(S&PがAA-から現在のA+へ格下げ):アベノミクス下での消費税率10%への引き上げ延期と、デフレ完全脱却の遅れを理由に格下げを実施。S&Pは「今後数年間で日本の経済成長率とインフレ率が、政府債務の持続可能性を改善するほど力強く加速する可能性は低い」と断定しました。
格付け会社が過去の審査で一貫して問題視してきたのは、借金の絶対額そのもの以上に「政治が痛みを伴う財政再建や社会保障改革を実行できるガバナンスを備えているか」という実行力でした。公債依存度が依然として3割を超える予算編成が常態化している現状は、常に格下げ審査の俎上に載せられ続けています。