1個数十万円?カーリング石に隠された絶海の孤島と職人の秘密

1個数十万円?カーリング石に隠された絶海の孤島と職人の秘密

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なぜ一般的な花崗岩では代用できないのか。世界最高峰の舞台で使われる石には、極めて特殊な原石が求められるからだ。その唯一無二の供給源が、スコットランド西岸のクライド湾に浮かぶ絶海の無人島、アルサクレイグ島である。

火山活動によって約6000万年前に形成されたこの島で採掘される花崗岩は、世界で最も緻密な結晶構造を持つ。「コモングリーン」と「ブルホーン」と呼ばれる2種類の特殊な岩石は、吸水率がほぼゼロに近い。もし石がわずかでも氷上の水分を吸い込んでしまえば、凍結と融解を繰り返す中で内部から亀裂が走り、激しい衝突の衝撃で粉々に砕け散ってしまう。アルサクレイグ島の岩石だけが、氷点下の極限状態でも決して水を吸わず、何万回もの激突に耐え抜く。

現在、島は野鳥の保護区に指定されており、採掘は数年に一度、環境への影響を最小限に抑えながら厳密な管理下で行われる。採掘された原石は海を渡り、選ばれた職人たちの工房へと運ばれていく。

佐々木 一輝
著者

佐々木 一輝

Webメディアでの編集・執筆歴10年。読者の好奇心を刺激するストーリー作りを心がけています。