物語の重要なキーパーソンとなるのが、被害者の娘・十字(クロス)を演じた広瀬すずだ。彼女の持つ透明感と、その奥に隠された陰のある眼差しは、観客の推理を大きく揺さぶる。作中には、動機や真犯人の存在を巡る数々の伏線が静かに配置されている。
雪の上で無邪気に戯れる過去の記憶、意味深な義足の描写、そして二転三転する告白内容。何が偽りで何が事実なのか。広瀬すずのセリフ一つひとつ、立ち振る舞いの一挙手一投足が、鑑賞者を深い謎の迷宮へと誘い込む。結末を迎えてもなお残る解釈の余白こそが、何度も見返したくなる最大の醍醐味である。