ニットデザイナーとしての三國万里子の経歴は、極めてユニークです。新潟県新潟市に生まれ、3歳頃から母や祖母の影響で針を持ったものの、当初から手芸の専門学校へ進んだわけではありませんでした。進学先は早稲田大学第一文学部フランス文学専修。この学生時代に培われた文学的素養と観察眼が、現在のデザインの骨格を形作っています。
大学卒業後は、書店員やカフェ勤務、一般事務など多様な職を経験。専業主婦として家庭を守り、子育てをしながら、自室で黙々と毛糸と向き合う日々が続きました。転機が訪れたのは2009年、45歳を迎える年でした。文化出版局から刊行された『編みものこもの』が、口コミを中心に異例のベストセラーを記録。手芸誌のパターンとは一線を画す洗練された世界観が瞬く間に評判を呼び、一躍トップデザイナーへと駆け上がりました。
2026年現在の三國万里子の年齢は61歳。円熟期を迎えた今もなお、その創作意欲は衰えるどころか、さらなる広がりを見せています。かつては個人の作家活動が中心でしたが、現在は「ほぼ日」とタッグを組んだ大規模プロジェクトや、異業種ブランドとの協業、海外に向けたパターン配信など、活動のステージを世界へと広げています。