「せむし」はなぜ差別用語なのか?メディア規制と言い換えの歴史

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表現規制の波は、過去の優れた文芸作品の復刻や翻訳現場にも大きな波紋を広げた。とりわけ19世紀のゴシック文学や初期のミステリ作品には、当時の社会観念を反映した描写が数多く含まれている。代表例がフランスの文豪ヴィクトル・ユーゴーによる名作や、英国のアーサー・コナン・ドイルが手がけたシャーロック・ホームズシリーズだ。

ユーゴーの名作はかつて『ノートルダムのせむし男』の邦題で広く知られていたが、ディズニーのアニメーション映画化の際にも用いられたノートルダムの鐘や原題に即した『ノートルダム・ド・パリ』へと表記が改められるケースが増えた。また、コナン・ドイルの短編『The Adventure of the Crooked Man』も、初期の邦訳では「せむし男」と題されていたが、現代の文庫版では屈折する男や『背の曲がった男』といったタイトルの変更が定着している。作品が持つ普遍的な文学的価値を保ちつつ、差別的語彙を現代の感性にどう適応させるか、日本の出版業界は常に繊細な判断を迫られてきた。

山田 真由
著者

山田 真由

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