森本の足跡を振り返る時、1980年代の決断が大きな転換点として浮かび上がる。NHKアナウンサーとして『ニュースセンター9時』などの看板番組を背負い、お茶の間の顔として絶大な人気を誇っていた彼が、突如としてフリーランスへの転身を表明した出来事は、当時の放送業界全体に大きな衝撃を与えた。
フリー転身後、活動の主軸となったのが株式会社TBSラジオとのタッグであった。組織の枠組みにとらわれず、より自由で批判精神に富んだ発言の場を求めた彼にとって、ラジオというメディアは完璧な表現の舞台となった。テレビの華やかさとは一線を画し、声だけで言葉の重みを届けるラジオの世界で、彼は確固たる地位を築き上げていったのである。