本作の完成度を語る上で欠かせないのが、気鋭の作家陣による実験的な試みです。作詞の麻生香太郎と作曲の西平守、そして編曲を担当した竜崎孝路のトリオは、従来の演歌の定石を打ち破るサウンドデザインを構築しました。
西平守が紡いだメロディは、哀愁を帯びたマイナーコードを基調としながらも、随所にポップスやジャズのモダンなコード進行が散りばめられています。さらに、竜崎孝路による洗練されたストリングスと哀切なギターのオブリガートが、新宿の夜霧とネオンライトを音響的に再現しています。
言葉の端々に都会のダンディズムを漂わせる麻生香太郎の詞世界と、ウェットになりすぎない西平守のメロディ。この絶妙なバランスが、森進一の持つ情感豊かな表現力を極限まで引き出しました。