冬枯れの木々に黄金色の実をつけるセンダンですが、植物全体、とりわけ果実と樹皮には強い毒性が秘められています。主たる有毒成分は、リモノイド系トリテルペン化合物である「メリアトキシン(Meliatoxins A1, A2, B1)」やアザジラクチン関連物質です。これらは経口摂取されると、哺乳類の消化器粘膜を激しく刺激すると同時に中枢神経系を麻痺させる毒性を発揮します。
人間に対する危険性も極めて高く、特に体重の軽い乳幼児が誤飲した場合は深刻な事態を招きます。国内外の医学報告によると、小児であればわずか6〜8粒の実を摂取しただけで死亡に至った事例が記録されています。成人の場合でも数十粒の摂取で致死量に達すると推計されており、決して「身近な木の実だから」と油断できるレベルではありません。
人間が誤食した場合、食後数十分から数時間以内に以下のような急性症状が現れます。
- 初期症状:激しい悪心、嘔吐、腹痛、水様性下痢、過度の口渇
- 進行期:血便、めまい、運動失調、筋無力症、過度の流涎(よだれ)
- 重篤期:呼吸困難、全身性の痙攣発作、徐脈、意識障害、肝不全・腎不全による心停止
センダンの実は熟すと甘酸っぱい芳香を放つため、地面に落ちた実を小さな子どもが木の実遊びの延長で口に入れてしまうケースが報告されています。公園や通学路にセンダンの巨木がある場合、落ちている実を絶対に口に含まないよう徹底した注意喚起が不可欠です。