ネモ船長が主催する地底探検ツアーは、本来であればゲストが危険に晒されるようなルートではありません。水晶の洞窟や、色鮮やかに発光する未知の動植物が生息する「巨大キノコの森」を穏やかに巡る、学術的かつ安全な遊覧コースとして設計されていました。
しかし、走行車が進むにつれて状況は一変します。突如として発生した大規模な火山性地震により、本来の巡行軌道が崩落。走行車は制御不能のままポイントを切り替えられ、ネモ船長ですら立ち入りを制限していた未踏の危険地帯「溶岩洞」へと意図せず迷い込んでしまうのです。
ここで極めて重要な裏設定が、序盤に通過した「巨大キノコの森」との関係性です。キノコの森で見られる、柔らかい光を放ちながら蠢く可愛らしい多足生物や発光する卵のような物体――これらの一部は、実はラーヴァモンスターの幼虫(あるいは卵)であるとされています。
つまり、怪獣がゲストの乗る地底走行車に激しく襲いかかってきた真の理由は、単なる捕食行動や無差別な凶暴性ではありません。地震の混乱の中で突如として巣の深部へ侵入してきた金属の巨大な塊(走行車)を「我が子を脅かす外敵」と見なし、命がけで幼虫たちを守ろうとした「母性本能による防衛行動」なのです。怪獣の怒りと威嚇の咆哮には、侵入者を巣から排除しようとする母親の気迫が込められています。