映画界での評価を足がかりに、彼女は東映が手掛けるハードボイルド作品や一般映画、さらにはお茶の間のテレビドラマへと活躍の場を広げていく。とりわけ伝説的な刑事ドラマ『特捜最前線』などへのゲスト出演で見せた演技は、多くの視聴者の脳裏に強烈な爪痕を残した。
犯罪の闇に巻き込まれる薄幸のヒロイン、あるいは冷酷な秘密を抱えた謎の女。複雑なバックボーンを持つ難役を演じる際、彼女が放つ哀愁とリアリズムは群を抜いていた。大仰なセリフ回しに頼ることなく、沈黙やわずかな視線の揺らぎだけで登場人物の過酷な半生を物語る。昭和のフィルム撮影が持っていた重厚な質感に、彼女の硬質なリアリティが見事に噛み合っていた。