長引く在宅生活の中で訪れる精神的な危機は、個人的な挫折だけで語ることはできない。近年、メディアやジャーナリズムの現場でも大きく取り上げられているのが、高齢の親が引きこもり状態の当事者を支え続ける「8050問題」の深刻化だ。『NHKスペシャル』などの報道番組でも度々特集されている通り、親の高齢化や減収に伴い、家庭内での孤立がいっそう過酷なものへと変質している。
周囲からの視線を恐れてSOSを出せないまま時間が経過すると、心身のメンタルヘルスは著しく悪化する。「働いていない自分には生きている資格がない」という社会的なプレッシャーは、当事者を心理的限界へと追い詰める。社会福祉の枠組みから漏れ落ちてしまった家庭において、絶望感は静かに、しかし着実に深まっていくのだ。