ヤナセが半世紀以上にわたり顧客の支持を集め続けた理由は、製品そのものの魅力だけではない。「アフターサービスこそが最大の営業である」という徹底した現場主義があったからだ。
柳瀬俊一郎が関与した時代、同社はメカニックの技術向上と部品供給スピードの劇的な改善に努めた。自社で整備技術者を育成するためのトレーニングセンターを設立し、難解な海外製メカニズムにも即座に対応できる体制を全国規模で構築した。
顧客への接遇においても、ホテルライクなサービスが導入された。営業マンは単に車を売るだけでなく、オーナーのライフスタイルに寄り添うコンシェルジュのような役割を果たした。これが「ヤナセ品質」と呼ばれたブランディングの正体である。