険しい山道に囲まれた道志村の現場。警察や消防、自衛隊が連日体制でローラー作戦を展開する中、民間からも続々と人が集まった。だが、そこには明確な「二面性」が存在していた。
一方は、山岳遭難救助のノウハウを持つ熟練者たちによる献身的なボランティア捜索隊。彼らは自給自足で山に入り、警察と綿密に連携を取りながら足跡一つ見逃さない緻密な捜索を続けた。しかし他方で、現場を私的な好奇心の発露や承認欲求の道具とする者たちが入り乱れていた。
サンダル履きや薄着のまま立ち入り禁止エリアへ強引に入ろうとする者、捜索本部テントの周囲をスマートフォンで無断撮影し続ける配信者、そして自説の推理を現地警察官に怒号混じりに押し通そうとする人物。深い山林の静けさは、外部から押し寄せた異様な熱気によって完全に掻き乱されていた。