多くのリスナーが疑問に抱くのが、「なぜ冬のクリスマスソングが、常夏の島を想起させるJALのCMソングに選ばれたのか」という点です。本作は「JALハワイ・キャンペーン」のCMソングとして大々的にオンエアされました。当時の広告戦略において、凍える日本の冬を抜け出して南国の楽園ハワイへ旅立つというプロモーションと、冬の切なさを描いたポップチューンは見事なコントラストを描き出し、お茶の間に強烈なインパクトを残しました。
そして、この曲の寿命を決定づけたのが、稀代のヒットメーカー・売野雅勇による作詞です。売野が描いた詞世界は、浮かれたクリスマスの喧騒とは一線を画す、大人の哀愁と静かな決意に満ちていました。
街が華やぐクリスマスイブの夜、隣にいる恋人との別れを予感しながら、無理に引き止めることも、激しく責め立てることもせず、ただ静かに二人の歩んできた時間を慈しむ――。『最後のHoly Night 歌詞の意味』を丁寧に読み解くと、そこには80年代半ばの都会的な男女が持っていた、繊細で自立した恋愛観が息づいていることがわかります。感傷に流されすぎないドライな美学と、内面に秘めた切なさが同居する詞世界は、聴き手の記憶の奥底にある個人的な思い出と結びつき、何十年経っても色褪せないノスタルジーを喚起し続けています。