厚生労働省が公表する人口動態統計を見ても、分娩を取り扱う医療機関の集約化と医師の偏在は全国的な課題として横たわる。限られた医療資源の中で、ハイリスク分娩を担う総合周産期母子医療センターと、地域に根ざした個人産院との機能分担がこれまで以上に強く求められている。
地域の産婦人科が担う役割は、単なる分娩施設の提供にとどまらない。思春期の月経トラブルから更年期障害の治療、子宮がん検診まで、女性の生涯にわたる健康を支えるプライマリ・ケアの拠点でもある。周産期医療のネットワークがしっかりと機能している地域では、万が一の母体急変時にも近隣の大学病院や三次救急病院への搬送がスムーズに行われる。こうした見えないバックアップ体制の有無こそ、冷静に見極めるべき要素だ。