一口にバターと言っても、家庭用として広く親しまれる有塩バターと、製菓・調理に使われる無塩(食塩不問)バターでは、賞味期限切れ後の耐久力に決定的な差が存在します。その鍵を握るのが、製品中に約1.5%含まれる「食塩」の存在です。塩分は自由水を抱え込み、微生物の細胞から浸透圧によって水分を奪うことで、細菌の増殖を強力に抑え込みます。
無塩バターは静菌作用を持つ塩分を含まないため、酵母やカビなどの微生物に対して極めて無防備です。賞味期限自体も有塩バターより短めに設定されていることが多く、期限切れ後の耐用期間は有塩タイプの半分以下と見積もる必要があります。製菓用として買い置きした無塩バターを長期間放置することは、見えない雑菌の温床を作る行為に他なりません。
家庭で使い切れないバターを安全に延命させる唯一の確実な手段は、購入直後の「冷凍保存」です。10g前後の使いやすいサイズに切り分け、空気が入らないよう1個ずつラップで密着包装した上で、ジッパー付き保存袋に入れてマイナス18℃以下の冷凍庫へ入れます。これにより、脂質の酸化酵素反応と空気接触を極限まで遮断でき、約半年から1年にわたり良好な品質をキープすることが可能になります。