日本には、季節の移り変わりを芳香で知らせる「日本三大香木(にほんさんだいこうぼく)」と呼ばれる樹木が存在します。春の沈丁花(ジンチョウゲ)、初夏の梔子(クチナシ)、秋の金木犀(キンモクセイ)です(冬の蝋梅を加えて「四大香木」と呼ぶ場合もあります)。
三大香木の中でも、沈丁花はその香りの到達距離から別名「千里香(せんりこう)」とも呼ばれてきました。沈丁花という漢字は、香木として名高い「沈香(じんこう)」のような重厚な香りと、スパイスとして知られる「丁字(ちょうじ / クローブ)」のような刺激的で甘い花姿・芳香を持つことに由来しています。
近年の香気成分分析調査によると、沈丁花の香りにはリナロール(鎮静作用やリラックス効果を持つ成分)やネロリドールなど、120種類以上の揮発性芳香成分が含まれていることが判明しています。冬の寒さでこわばった心身を解きほぐし、前向きな気分へと導く心理的アロマ効果が科学的にも裏付けられています。