神社の参道において、中央を避けて歩くべき最大の理由は、参道の中央が「正中(せいちゅう)」と呼ばれる神様の通り道にあたるためです。神域において本殿に鎮座する神の真正面に通じるラインは、最も尊い軸線と見なされています。ここに参拝者が堂々と立ちふさがることは、高貴な主人の正面を遮るような無礼にあたると捉えられてきました。
神職への聞き取りや神道祭祀の進退作法(しんたいさほう)においても、祭儀中に神職自身が正中を直進することは原則としてありません。神職が中央を横切る必要がある場合は、足を止めて神前に向かって軽く頭を下げる「小揖(しょうゆう)」を行い、腰を低く落として速やかに渡るのが厳格な作法となっています。
参拝者が参道の中央を避けるのは、神への敬意を行動で示すもっとも身近な作法です。ただし、初詣や例大祭などの極度な混雑時においてまで無理に端に押し寄せると、将棋倒しなどの危険が生じます。神社本庁の広報担当者や警備担当の現場関係者も「混雑時は警備誘導に従い、安全を最優先に広がって進んで問題ない」と見解を示しています。平時の静かな境内においてこそ、敬意の表れとして正中を空ける心遣いが光ります。