甲子園球場名物の巨大屋根「銀傘(ぎんかさ)」は、アイビーシートの価値を決定づける最大の要素だ。夏の強い日ざしや急な雨から観客を守るこの構造物は、座席の「段数」によって受ける恩恵が大きく変化する。
具体的には、アイビーシートの概ね29段目以降が銀傘の真下に位置し、一日を通して直射日光をほぼ完全に遮ることができる。一方、1段目から15段目付近の前方エリアは、迫力満点の視界と引き換えに、デーゲームでは太陽の移動に伴い強い日差しに晒される時間帯が生じる。中段にあたる16段から28段付近は、時間帯によって日陰と日向が移り変わるグラデーションゾーンだ。
見え方に関しても、一塁側ダグアウト後方に位置するため、右打者のスイング軌道やピッチャーの投球コース、ベンチ内の選手たちの表情までくっきりと肉眼で捉えることができる。単に試合を眺めるだけでなく、戦術の機微まで愉しめるのがこのエリア固有の魅力と言える。