この四字熟語のルーツは、古代中国の戦国時代末期に法家思想を大成した思想書『韓非子(かんぴし)』の内儲説(ないちょせつ)や二柄篇(にへいへん)に遡ります。当時の君主専制政治において、法と権術によって国家を統率するための根幹概念として説かれました。
韓非子は、君主が臣下を操り国を治めるための2つの柄(取っ手=支配の道具)として「刑(処罰)」と「徳(賞与)」を挙げました。臣下や他国にこの賞罰の権利を一部でも渡してしまえば、君主は傀儡となり国は滅びると警告したのです。つまり、生殺与奪の由来・語源は、君主が国家の秩序を保つために「決して他人に譲ってはならない最高決定権」そのものでした。
東洋思想史の専門家による文献講読でも、この「二柄を握り続けること」こそが統治者の絶対条件と分析されており、個人の誇りや自立を論じる現代の文脈とは異なり、元来は冷徹な政治リアリズムから生まれた言葉であることが分かります。