こども家庭庁が毎年発行する少子化社会対策白書を紐解くまでもなく、未婚化の進行は少子化の最大のエンジンである。日本において婚外子の割合は全体の2〜3%程度にとどまっており、婚姻件数の激減はそのまま出生数の底割れを意味する。しかし、問題は次世代の減少だけに留まらない。「大量の単身高齢者」が生まれる未来の重圧こそが真の脅威だ。
厚生労働省が描く社会保障の設計図は、長年にわたり「夫婦と子ども」という標準世帯が互いを支え合うファミリーケアを暗黙の前提としてきた。単身者が高齢期を迎えたとき、認知症の対応、日常の買い物、入院時の身元保証、孤独死の処理といったケアの負荷はすべて行政と地域社会にのしかかる。
すでに都市部の集合住宅では孤立死が日常茶飯事となり、地方では親の年金に依存してきた中高年単身者が「8050問題」から「9060問題」へと移行し、生活困窮に陥るケースが後を絶たない。家族というセーフティネットを持たない国民がマジョリティ化する社会の維持コストを、誰がどのように負担するのか。現行の社会インフラは、この急速な単身化の波にまったく追いついていない。