石坂の降板後、5代目として白羽の矢が立ったのは里見浩太朗だった。かつて助さん役として絶大な人気を誇り、作品の隅々までを知り尽くした大スターの登板によって、番組は再び「髭のあるお馴染みの黄門様」へと原点回帰を果たす。
里見が見せた圧倒的な包容力と華やかな殺陣は、離れかけていたオールドファンを瞬く間に呼び戻した。様式美の快楽を極限まで高めた里見版の成功は、テレビ時代劇としての正しさを証明したといえる。その一方で、石坂が試みた「痛みを伴うリアルな旅路」という異色のスパイスがあったからこそ、水戸黄門というフォーマットの頑丈さが逆説的に証明されたとも評価できる。