幕末から明治維新にかけて、日本が近代外交の舞台に登場した際、政府は外交文書において天皇の公式英訳を「Emperor」と定めました。これには当時の世界情勢を見据えた高度な外交戦略が働いていました。
欧米列強がアジア諸国を植民地化していく中、日本は「神聖にして不可侵な伝統的権威」を持ち、列強と対等に渡り合える独立国であることを示す必要がありました。中国の「皇帝」と同格であり、ヨーロッパの皇帝と同等の最高位として「Emperor」を採用したのです。
外交上の国際儀礼(プロトコール)において、国家元首の席次は「元首の格(皇帝>国王>大公・大統領)」と「在位期間・就任日」によって厳格に定められます。現在、公的にEmperorの称号を持つ元首は日本の天皇のみであるため、国際会議や晩餐会などの席次では、ローマ教皇と並び事実上の最高格式として扱われることが外交関係者の共通認識となっています。