長年、ワールドカップや世界バレーの固定開催地として定着していた日本が見送られた理由について、ファンの間では様々な憶測が飛び交いました。しかし、スポーツビジネスの現場を取材すると、決定的な3つの構造的要因が浮き彫りになります。
第1の要因は、「FIVBが設定する開催ライセンス料の急騰」です。かつて日本は大会運営費や巨額の放映権料を一手に引き受けることでホスト権を維持してきましたが、FIVBの商業化路線が加速し、開催権料の要求額は過去の数十億円規模からさらに高騰。日本の民間キー局や日本バレーボール協会(JVA)が単独で背負うリスク許容量を完全に突破しました。
第2の要因は、「国内地上波テレビ局のビジネスモデル崩壊」です。かつてゴールデン帯で高視聴率を叩き出し、ジャニーズ系タレントのスペシャルサポーター起用とセットで巨額の広告費を集めたスキームは、テレビ広告市場の縮小や視聴習慣のデジタル移行によって終焉を迎えました。費用対効果の面で、億単位の制作・中継費を投じることが極めて難しくなった現実があります。
第3の要因が、「東南アジア市場の爆発的熱量と官民一体の誘致攻勢」です。フィリピンやタイでは、バレーボールが国民的人気スポーツへと成長しており、政府観光庁や現地コングロマリット企業が莫大なインバウンド効果を見込んで巨額の国家予算・スポンサーマネーを投入しました。FIVBにとっても、飽和気味な東アジアから成長著しい東南アジアへ市場を拡大する戦略と完全に一致した結果といえます。