熱気渦巻くレッドカーペットの記憶は、まだ記憶に新しい。かつてカンヌ国際映画祭の批評家たちを沈黙させ、上映後に鳴り止まないスタンディングオベーションを巻き起こした光景。佐々木が手がける画面構成は、単に「美しい」という陳腐な言葉を拒絶する。光と影の粒立ち、登場人物の微細な呼吸音、張り詰めた空気の質感までを焼き付けるシネマトグラフィーは、視覚芸術の極致として世界中で熱烈に語り継がれてきた。
妥協を許さない構図へのこだわり。カメラマン出身というルーツを持つ彼だからこそ可能な光の設計は、役者の肌の質感や埃の舞い方ひとつで物語の深度を何倍にも引き上げる。「佐々木のキャメラの前に立つと、嘘がつけなくなる」――ある名優がそう吐露した通り、彼の映像は人間の生々しい内面を容赦なくえぐり出す。