矢本悠馬の役者人生は、一見すると順風満帆なブレイクロードに見えますが、その根底には子役時代の偶然の出会いと、コンプレックスを逆転させた泥臭い努力の歴史があります。
1990年8月31日、京都府に生まれた矢本は、2003年(当時13歳)、映画『ぼくんち』(阪本順治監督)のオーディションに母親の強い勧めで参加。本人は当時まったく乗り気ではなかったものの、その独特のふてぶてしさと圧倒的な存在感が監督の目に留まり、主人公・一太役に抜擢されてスクリーンデビューを果たしました。しかし、当時はプロの役者として生きる確固たる覚悟はなく、思春期の途中で一度は演技の世界から距離を置くことになります。
高校卒業後、専門学校で演技を学び直した矢本は、2011年に松尾スズキ主宰の名門劇団「大人計画」の研究生(研修生)として所属。ここで叩き込まれたアングラ演劇の混沌、強烈なアドリブ対応力、自己表現の破壊と再構築が、現在の彼の強靭な演技のバックボーンとなりました。
公称身長161cm。成人男性の平均身長(約171cm)よりも10cmほど小柄な体格は、一般的にモデル出身の長身高身長俳優がもてはやされる現代の日本の映像業界では、一見ハンデになりかねない要素です。しかし矢本悠馬は、この身体的特徴を最大の武器へと昇華させました。