最初の妻との間に生まれた長女の石橋穂乃香は、自ら表現の世界へ飛び込んだことで、その宿命と最も真正面から対峙することになった。デビュー当初から容赦なく浴びせられた「二世タレント」という冷ややかな視線。偉大な父の存在は、扉を開く鍵にはなっても、部屋の中に居続けるための免罪符にはならなかった。
一時は活動休止を経験し、海外生活や一般のアルバイトなど芸能界の外側にある空気を徹底的に吸い込んだ。その経験が彼女の表現者としての骨格を作ったと言える。舞台演劇の世界で地道に役を掴み取り、一人の女優として自活する実力を培った彼女は、やがて結婚と出産を経験。父親を「おじいちゃん」にした今、その関係性はかつての緊張感を抜け、お互いを一人の人間として尊重し合える柔らかなものへと変化している。