2000年12月、日本中に激震を走らせた世田谷一家殺害事件。宮澤泰子さん一家の尊い命が奪われた現場には犯人の遺留品やDNA型が多数残されていたにもかかわらず、未だ真相解明には至っていない。発生直後からメディアによる狂乱的な過熱報道が繰り広げられ、遺族は事件のショックと同時に過酷な二次被害に苛まれることとなった。
そうした逆境の中で、入江杏子氏は「世田谷一家被害者遺族の会」の歩みとも共鳴しながら、被害者遺族が孤立無援の淵に沈み込むのを防ぐための模索を重ねた。単に犯人への怒りを煽るのではなく、大切な家族を突然奪われた人間がどう日常を取り戻し、記憶を風化させずに生き抜くか。彼女の発する言葉は、同じように理不尽な犯罪被害に苦しむ人々にとって、暗闇を照らす灯火であり続けている。