市議会議員になるための法的な門戸は、憲法と公職選挙法に基づき、あらゆる市民に対して広く開かれています。地方公務員法や公職選挙法第19条が定める市議会議員の被選挙権条件は、極めてシンプルかつ明確です。
第1に「日本国民であること」。第2に「投票日時点で満25歳以上であること」。そして第3に「当該市町村の議会議員の選挙権を有していること(引き続き3か月以上その市町村内に住所を有していること)」です。ここで注意を要するのは、単に住民票を置いているだけでなく、光熱費の支払いや日々の生活実態が伴っているかどうかが選挙管理委員会によって厳密に確認される点です。過去の判例でも、生活の本拠が別の自治体にあるとみなされ、当選無効となった事例が存在します。
有権者の関心が高い市議会議員に必要な学歴や経歴については、法的な縛りは一切ありません。中卒、高卒、大卒といった学歴はもちろん、前職が会社員、自営業、主婦、フリーランス、あるいは非正規雇用であっても出馬可能です。国政選挙に見られるような「世襲」「官僚出身」「弁護士」といった肩書は市議選において必須ではなく、むしろ自治会活動やPTA、消防団、商店街振興など、地域に根差した泥臭い活動歴が有権者の共感を呼ぶケースが少なくありません。
出馬を決意してから投票日を迎えるまでの市議会議員立候補の手順は、計画的なスケジューリングが合否を分けます。投開票日の概ね2〜3か月前に行われる「立候補予定者説明会」への出席が出発点です。ここでは選挙管理委員会から供託金の手続き、選挙運動用ポスターの規格、選挙カーの運用ルール、収支報告書の記載方法など膨大な書類一式が交付されます。
その後、投開票日の約2〜3週間前に実施される「書類事前審査」を通過しなければなりません。戸籍謄本、住民票、供託証明書、通称使用申請書(本名ではなく活動名・ペンネームを使う場合)などの記載漏れや不備をゼロにしておく必要があります。そして選挙告示日の朝8時30分、選管へ正式に立候補届出を行い、くじ引きでポスター掲示場の番号が決定した瞬間から、短くも過酷な選挙戦の幕が切って落とされます。